2024年11月25日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、米国でドナルド・トランプ氏が第2次政権を発足させる前に、日中両国が関係改善を急いでいると報じた。
記事は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のためペルーを訪れていた石破茂首相が16日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と初めて会談を行い、会談後に石破氏が「非常に実りある意見交換だった」と手応えを語り、福島第一原発の処理水放出や日本産水産物輸入の再開問題が中国側から提起されたことを評価したと伝えた。
また、林芳正官房長官が20日の記者会見で、8月に中国軍機が長崎県男女群島海域で日本の領空を侵犯した件について、中国側が事実であることを認め、再発防止を約束したと明かしたことにも言及。「中国が日本との関係改善に向けて非常に前向きな姿勢を示していることが見て取れる」と評した。
さらに、新型コロナウイルス感染症の流行期間中に停止したまま、感染収束後に日本が再三働きかけを行うも再開されていなかった日本人に対する中国へのノービザ滞在許可が今月30日より来年末までの予定で再開し、滞在可能期間も従来の15日から30日まで延長されることについても、中国がトランプ政権発足前に出した日本との関係改善を求める強いシグナルとの見方を示している。
その上で、トランプ政権発足を前に日中両国が緊張関係を改善して接近する姿勢を示している要因について3つの点を挙げて解説。まず、日中両国が米国の保護主義に反対して世界の自由貿易を守り、相互市場開拓や地域的包括的経済連携協定(RCEP)の拡大を通じて、北米市場での損失を補いたいとの共通の意思を持っているとした。
次に、トランプ氏が大統領就任後に日本に対して駐留米軍費用などのさらなる負担や大量の武器購入を求めることが予想される中、中国との関係を改善して軍事的な圧力を低減させ、米国との交渉を可能な限り有利に進めたいという日本側の思惑を挙げた。そして3点目ではトランプ氏がバイデン政権とは異なり米国の価値観を他国に強要しないものとみられ、日本としては米中どちらの陣営に立つかを迫られる圧力がやや低減し、必ずしも米国に追従して半導体などの先進技術の対中輸出を規制する必要がなくなる可能性があるとした。
記事は特に3点目について「輸出総額の中で対中半導体輸出がかなりの部分を占める日本にとっては、同盟関係を軽んじるトランプ政権により半導体の対中輸出を一部再開できる可能性がある。そうなれば対中強硬姿勢により中国側が規制をかけていた先進半導体製造用レアメタルの対日輸出が解禁されることにもつながる。中国は先進半導体を手に入れられ、日本は対中貿易を拡大しつつ希少資源の確保ができ、ウィンウィンが実現する」との見方を示している。(編集・翻訳/川尻)
(出典 news.nicovideo.jp)
特に、両国は相互依存が深まる中で、貿易戦争や外交的緊張を避ける必要性を強く感じているのではないでしょうか。
新たな政権の方針が不透明な今、早期に関係を修復することで、影響を最小限に抑えようとする戦略的判断が見て取れます。
<このニュースへのネットの反応>
【なぜ日本と中国はトランプ政権前に関係を急ぐのか?】の続きを読む