一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、国内外の金融緩和政策により、活気付いてきたフィリピン株式市場の最新動向を中心に解説していきます。

RRR引き下げで「GDP約1.2%」の資金が供給される可能性

アナリストは、フィリピン中央銀行(BSP)が準備預金比率(RRR)を引き下げたことにより、フィリピン経済に3,000億ペソ以上の資金が供給される可能性があると指摘しています。この金融政策の緩和策は、国内の経済活動を支援し、特に流動性を高める効果が期待されています。

今回、250ベーシスポイント(bp)のRRR引き下げにより、約3,100億〜3,300億ペソが市場に供給されると見込まれています。これは、2024年のフィリピン国内総生産(GDP)の約1.2%に相当し、かなりの規模の流動性注入と見られています。これにより、フィリピン国内の資金供給が増加し、特に融資の拡大や投資促進が期待されます。

準備預金比率とは、銀行が中央銀行に預ける必要がある預金の割合のことを指します。この比率が引き下げられると、銀行は手元に残る資金が増え、それを企業や個人への貸付や投資に回すことが可能になります。今回の引き下げにより、銀行の融資能力が大幅に拡大し、国内経済の活性化が促進されると予測されているのです。

この政策変更は、フィリピンの経済成長を支えるための一環とされており、特に新型コロナウイルスの影響で低迷していた経済の回復を後押しする狙いがあります。中央銀行の決定は、インフレリスクや国際的な金融市場の変動に対応するための柔軟な政策運営の一環でもあり、国内の金利や為替レートの安定にも寄与すると期待されています。

さらに、今回のRRR引き下げは、金融政策全体の緩和姿勢を示しており、今後も追加的な金融緩和策が取られる可能性があると予測されています。これにより、フィリピン経済は短期的には成長の加速が見込まれるものの、長期的にはインフレ圧力や国際的な市場動向によるリスクも考慮する必要があるでしょう。

フィリピン株式市場、年初来15%上昇

フィリピン株式市場は、年初、ASEAN地域内で最も低調な市場でしたが、現在では最も好調な市場となり、年初来で15%の上昇を記録しています。

フィリピン総合株価指数(PCOMP)は、6月の最安値から20%上昇しており、これは強気のシグナルと見なされています。また、8月15日フィリピン中央銀行(BSP)が利下げを実施して以来、PCOMPは約11%上昇しています。

フィリピン中央銀行(BSP)利下げの恩恵を最も受けたのは銀行株で、市場をけん引しています。また、コングロマリット(財閥)や消費者関連株もキャッチアップを始めており、不動産セクターも一部でポジティブな反応が見られます。特にアヤラ財閥のAyala Landが注目されています。

さらに、7月以降、海外投資家の買いが増加しており、特にBSPの利下げ後には外国人買いが市場の主要銘柄のパフォーマンスに大きく貢献しています。そして、連日外国人の買い越しが続いていますが、外国人の保有比率は過去の水準と比べるとまだ低い状況です。

フィリピン株式市場全体の12カ月先のターゲットとして、アナリストのコンセンサスではフィリピン株価指数(PSEI)が8,319になると予測されています。そして、銘柄ごとの上昇余地に関して、フィリピンの老舗証券会社・ABキャピタル証券では以下の見解を示しています。

年初来パフォーマンスが良好な銘柄で、さらなる上昇の余地がある銘柄として、Converge ICT Solutions (CNVRG:通信)、Monde Nissin (MONDE:食品)、GT Capital Holdings (GTCAP:財閥)、AC Energy (ACEN:再生エネルギー)、PLDT Inc. (TEL:通信)を挙げています。

年初来で出遅れているが、上昇の可能性が高い銘柄としては、JG Summit Holdings (JGS:財閥)、Aboitiz Equity Ventures (AEV:財閥)、Universal Robina Corporation (URC:食品)、Bloomberry Resorts (BLOOM:カジノ)、Wilcon Depot (WLCON:小売り)、SM Prime HoldingsSMPH:不動産)、Ayala Corporation (AC:財閥)、Jollibee Foods Corporation (JFC:外食)、Puregold Price Club (PGOLD:小売り)、SM Investments Corporation (SM:財閥) を挙げています。



(出典 news.nicovideo.jp)


(出典 世界的な資源価格高騰…「フィリピン株式市場」への影響を考察 - ライブドアニュース)


日本の中央銀行が準備預金比率を引き下げることで、金融市場にどのような影響が及ぶのか、とても興味深いトピックです。この政策によって、銀行はより多くの資金を自由に運用できるようになるため、企業への融資が増加することが期待されます。結果、経済全体の活性化に繋がるのではないでしょうか。特に景気後退期には、このような政策が重要な役割を果たすことが多いので、今後の動向が注目です。

中央銀行の準備預金比率引き下げは、単に金融機関に資金を供給するだけでなく、消費や投資の促進にも寄与します。企業が借りやすくなることで、新たなプロジェクトが立ち上がり、雇用の創出へとつながります。また、消費者信頼感が上がることで、内需が活発化する姿も想像できます。経済全般の循環が改善される可能性があり、この政策の持つ力は見逃せません。

準備預金比率の引き下げは、中央銀行の手法の一つですが、その持つ影響力は非常に大きいです。特に、マネーサプライの増加を通じて物価上昇に寄与することが考えられます。インフレターゲットに向けた進展が期待され、企業の想定する収益などにもポジティブな影響があるでしょう。ただし、過剰なインフレや金融市場の不安定要因も懸念されるため、慎重に政策運営を進めることが重要です。

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